川のサイクルツーリズム 第4回「鴨川」
京都市内を流れる鴨川は、「京都」という街を象徴する川ではないでしょうか。
京の都を支え続け、数々の歴史の舞台にもなってきました。
今回は桂川との合流地点から源流を目指すことにしました。
国道1号を過ぎて水鶏(くいな)橋へ向かう途中、「鴨川」と書かれた大きな看板があります。
四条通から三条通あたりを散策する観光客やジョギング、散歩を楽しむ人たち。多くの人に親しまれ、愛されている鴨川ですが、「鴨川」と言う言葉に違和感を覚える人もいるかもしれません。実は私も鴨川を調べているときにふと思ったのですが、「賀茂川」じゃないの?「鴨川」?どっちだっけ?と。
どちらも間違いでないのですが、正式名称としては「鴨川」で、「賀茂川」とは高野川との合流地点である出町柳より上流を「賀茂川」と呼ばれているのです。河川法上の正式名称は「鴨川」に統一されています。
出町橋には「賀茂川」と書かれた看板が。ここから上流は
「鴨川」ですが「賀茂川」とも呼ばれています。
河川法における「鴨川」の起点は中津川と合流地点の出合橋より少し上流。しかし源流としてはさらに上流にある金光峯寺志明院境内に在る洞窟からの湧水や、途中合流してくる祖父谷川の源流とも言われています。
今回は自転車で桂川合流地点から源流を目指してみました。
早朝の鴨川河川敷はジョギングや散歩を楽しむ方も多く、観光客の方も河川敷で川を見ながら会話を楽しんでおられます。
多くの人が「鴨川」と聞いて連想するのはこのあたりでしょうか。
朝早かったのでそれほど人は多くなかったですが、時間帯によっては自転車での走行は注意が必要です。
京都の歴史は鴨川の歴史、ともいえるのではないでしょうか。
川床発祥の地であることはもちろん、歌舞伎発祥の地とされる四条河原、牛若丸と弁慶が対決したとされる五条の橋。写真は弥次喜多で知られる東海道五十三次、終点の三条大橋。
市街地を終えると、京都市内で見た鴨川とはちょっと景色がかわります。雲ケ畑を目指していると、何人かのサイクリストに遭遇。市内中心部からは気軽に楽しめるエリアです。雲ケ畑から持越峠を越えて京見峠経由で京都に戻るもよし、周山街道を高雄経由で帰るのもよし、時間があれば周山街道で周山から花脊峠を目指すルートもサイクリストには人気です。
市街地を抜けるとそれまで憩いの場としての鴨川は姿を変えます。
京都市北部からかき集めた水を、粛々と京都市内に届けています。
出合橋に辿り着いても、そこには確かにしっかりとした水流が上流に繋がっています。これは最初の一滴を見なければ!と思ってしまいます。穏やかな市民や観光客の憩いの場となっている鴨川とは違う、山間部から水をかき集めて「鴨川」へと繋いでいこうとする、どこか細く小さな川なのに、奥ゆかしくも1000年以上に渡って京都の、日本の中心を支えてきたという、水流にブレない何かを感じました(大げさかな)
ここからは本格的に京都市内を流れる鴨川とは違う、徐々に険しい雲ケ畑エリアの奥地へと進んでいくことになります。ちなみに出合橋より上流は鴨川ではなく、正確には「雲ケ畑川」とのことでした。
鴨川の起点とされる出合橋を通過しさらに進むと岩谷橋へ。
左へ進むと鴨川最初の一滴と言われている志明院にある岩の洞窟「神降窟(しんこうくつ)」、右へ進むと祖父谷川で山の頂上付近が鴨川の源流といわれています。
志明院にも行きましたが、今回は自転車でもう少し走りたいので祖父谷川沿いに上流を目指してみました。
このあたりは京の都の水を支えてきた神聖な場所。
昔はこのきれいな水を守るために雲ケ畑の住民の方たちは洗濯にも気を使い、死体の埋葬なども山を越えた隣の集落でしていたそうです。それほどに鴨川の水を神聖なものとして生きてこられていたのだと思います。
鯖街道の経由地でもあった雲ケ畑街道は、ロードバイクなどには向かないような荒れた路面と急勾配。今回は急勾配や荒れ地を走破できるグラベルバイクを選択しましたが正解でした。しかしそれでもかなり苦戦を強いられました。
この辺りは500m以上の標高、京都府南部から京都市内へやってくると、ヒンヤリと感じることが多いのですが、この辺りは京都市からもさらに気温が下がっていき、南部からスタートすると時間経過しても気温は早朝のままで止まっている感覚です。
祖父谷川沿いの道は祖父谷街道と呼ばれ、その昔は鯖街道として若狭の国から魚などを運んでいたそうですが、こんなに険しい山道で魚を運んでいたなんて驚きです。自転車でも十分険しいです。
自転車も車もなかった時代、よくぞこんな険しい道を若狭の国から魚を運んだものだと感心。5kgの荷物を背負って登ってくるだけでも一苦労なのですが・・・
頂上に近づいてきた頃、ようやく山の少し開けたところに到着。
小さな看板で「鴨川の源流」を発見することができ、冷たくてすごく透きとおった、まろやかな水が京都の町を目指して流れていました。
祖父谷街道の頂上、祖父谷峠近くに「鴨川の源流」の看板
数日前に雪が降ったこともありあちこちに雪が。
ここから京の都へと鴨川は進んでいくのです。
帰りは岩谷橋を過ぎた先から持越峠を越えて周山街道経由で桂川を南下。
あらためて鴨川との合流地点に立つと、雲ケ畑の山奥で見た源流の水が桂川と合流し、
まるで人々を満足させて誇らしげに下流に向かっているように感じました。
由良川や桂川のように長く水量の多い川ではないけれど、鴨川には何か勝るとも劣らない不思議なパワーを感じました。
自転車で走るには桂川の合流地点から鞍馬川との合流地点までは比較的平坦なのでぶらっとサイクリングするような感覚で楽しめますが、JRを越えて高野川との合流地点あたりまでは、歩行者も多いので安全に留意して走行してください。
そしてさらに上流、祖父谷川の分岐地点までは勾配も徐々にきつくなり最後はかなりの勾配ですが、自然の素晴らしさ川の素晴らしさが苦しさを吹き飛ばしてくれると思います。
帰路でもう一度鴨川と桂川の合流地点へ
祖父谷峠から進んできた水が役目を終えて桂川と合流し、この先で淀川となって大阪湾へと流れ込んでいきます。
京都の市街地を抜けると食事をするところがなかったのですが、周山街道福王子手前の「カフェハルディン」さんにランチタイムギリギリに滑り込み。
カフェハルディンさんの店長さんは自転車好きで、サイクリストもよく利用されているスペインバルでピザやパスタ、パエリアがおススメです。