海の京都

天地山海にいきづく和の源流”海の京都”の美食と絶景をめぐる。

府北部の“海の京都”エリアには、山海の幸や「和の源流」といえる歴史・文化など、みどころがたくさんありますが、今回は、その中でも伊根・宮津・舞鶴・京丹後のエリアの「食」の魅力を紐ときます。

▲ぶりしゃぶ発祥の地・宮津の「茶六別館」の食事処の「ぶりしゃぶ」

1.「日本一海と近い暮らし。」【伊根】

▲日本最古の浦島伝説が残る場所としても知られる「伊根」

伊根町は、1階が舟のガレージになっている「舟屋」が海沿いに並ぶ風景で有名です。そこに住む皆さんの多くが漁業関係者。地域の生業の様子を体験するため、活気あふれる「伊根漁港」を見学させてもらいました。お仕事の迷惑にならないよう注意すれば、誰でも見学OKです!

▲冬は8時前後、夏は6時頃から選別の様子を見学できる

漁場は陸から近く、港から20分ほどで漁場に到着。そこで60~90分程度操業して、すぐに帰港するため、次々に揚がる多様な魚の鮮度が抜群です。

▲希少なアカヤガラ。上品なおいしさが特徴の白身魚で、料亭などでも使われる高級魚

▲活魚用の生け簀に、大きなアンコウを発見

鮮魚店がない伊根では、漁港が地元の人たちの仕入れ先。ここ伊根漁港で毎朝新鮮な魚が手に入るため、町内の食事処や旅館の魚料理の美味しさは格別です。なお、漁港に駐車場がないため、港近くの「道の駅」の駐車し、階段を降りて行くのが近道。

伊根漁港

[ 住所 ]
京都府与謝郡伊根町字
[ 備考 ]
見学自由
[ 電話番号 ]
0772-32-0277(伊根町観光協会)
[ URL ]
http://www.town.ine.kyoto.jp/chosei/suisan/1445912570980.html

軒下が海だからこその「もんどり漁」

▲「もんどりかご」は下の穴から入った魚を閉じ込める仕組み

舟屋の特性を活かし、地元の皆さんは「もんどりかご」に、魚のあらなどを入れて軒下の海に沈めておくだけ、というなんとも気軽な漁を行っておられます。 驚くほど透明な美しい海で育った魚を、自分の手で獲り食べる営みとして「もんどり漁」が残っているのも、伊根ならでは。こうした生活の一端を見られるのも、この町の楽しさの一つ。

▲舟屋の特徴と、地元の方々の知恵が生んだ「もんどり漁」

「もんどり漁」は、伊根町観光協会のガイドツアー「舟屋ガイドとめぐる、まるごと伊根体験」(参加料金大人1,800円・税込、5日前までに要予約)に参加すれば見学可能。 また、獲れたての魚を使った料理が自慢の食事処や旅館の中には、現役の漁師が作る「漁師めし」をいただけるところも。

▲「漁師めし」の一例。この日はコッペ(メスのズワイガニ)、ぶり、サワラ、子持ちイカなど魚は全15種類!(取材協力:地魚料理よしむら)

「漁師めし」は、魚の長所を活かした、刺身、焼魚、煮魚、天ぷら、鍋など、色々な料理で魚を味わいつくすことができます。

例えば、アカヤガラは、そのフンワリとした身の柔らかさが天ぷらにすることで引き立ち、コッテリとした旨みがたっぷりの鯛は煮付けにすることで、その旨みが際立ち、朝揚がったアンコウも、地元の野菜だけを使った鍋することで「ここでしか食べられない」絶品料理として提供されています。

その日の漁や仕入れによってメニューが変わるため、どんな料理を食べられるかは、当日までのお楽しみの一つ。そんな「漁師めし」を食べられる旅館や食事処については、伊根町観光協会まで問い合わせを。

伊根町観光協会

[ 住所 ]
京都府与謝郡伊根町字平田491
[ 営業時間 ]
9:00~17:00
[ 定休日 ]
年末年始
[ 備考 ]
◯「舟屋ガイドとめぐる、まるごと伊根体験」ガイドツアー
大人1,800円、中学生・高校生1,300円(いずれも税込、小学生以下無料)
[開始時間]10:15~、13:00~(所要時間各60分)
[ 電話番号 ]
0772-32-0277(伊根町観光協会)
[ URL ]
http://www.ine-kankou.jp/

2.いにしえからの日本三景「天橋立」の絶景を望める【宮津】

『丹後風土記』には、国生みの神・伊弉諾(イザナギ)が地上にいる伊弉冉(イザナミ)に会うため、天から地上へと降りるのに使っていた「天の浮き橋」が、それが天橋立となったという神話があります。また、江戸時代から日本三景の一つに数えられ、100年以上、数多の人に愛でられてきました。

▲「天橋立」(全長約3.6km、幅約20~170m)には、約8,000本の松が生い茂る

北(傘松公園)から見ると「昇龍観」、東から見ると「雪舟観」、西から見ると「一字観」など、見る方向によりまったく違う景色を楽しめる天橋立。中でも、最も近い場所からその眺望を楽しめるのが「天橋立ビューランド」。モノレールかリフトで展望台まで上れます。

▲こちらが「飛龍観」として知られる眺望。「股のぞき」をすることで天地が逆さに

▲白い砂浜と緑の松、青い海と空のコントラストが美しい

飛龍観(天橋立ビューランド)

[ 住所 ]
京都府宮津市字文珠437
[ 営業時間 ]
2月21日~7月20日、8月21日~10月20日9:00~17:00、7月21日~8月20日8:30~18:00、10月21日~2月20日9:00~16:30
[ 定休日 ]
不定休
[ モノレール・リフト往復料金 ]
大人850円、子供450円(すべて税込)
[ 電話番号 ]
0772-22-1000
[ URL ]
http://www.viewland.jp/

究極の「ぶりしゃぶ」。発祥に縁の深い「茶六別館」の食事処で。

▲旅館「茶六別館」の「食事処 四季膳花の」

宮津市は「ぶりしゃぶ」発祥の地。 その発祥に深くかかわった旅館「茶六別館」の一画にある、「食事処 四季膳 花の」で、極上のぶりしゃぶをいただきます。

▲コースの「ぶりしゃぶ」(税別・1人前6品7,000円、写真は2人前)。大根おろしを入れた雪見仕立ての出汁で、ぶりの味がよりまろやかに

ぶりは刺身でも食べられる新鮮さで、その厚さはわずか2~3mm。皿が透けて見えるほどの薄切りこそ、職人のなせる技です。

火を入れすぎないのがポイント。箸洗い程度に1~2回、出汁にサッとくぐらせることで味わえる、適度に溶けた脂のコクと、まろやかで濃い旨み、そしてとろけるような食感がたまりません。 ぶりを皿の半分ほど食べ、ぶりの旨みがしみた出汁に野菜を入れるのが、「茶六別館」のご主人・茶谷昌史(ちゃだにまさし)さんのオススメの食べ方だそう。

▲やわらかい腹と弾力のある背、両方の部位の味比べも楽しめる

また、ゆずとすだちの果汁にしょうゆと、地元・飯尾醸造の富士酢プレミアムを少し加えた特製ぽん酢も食べれば、また格別。 ぶりしゃぶは、1978年11月、宮津・天橋立観光旅館協同組合青年部が、「松葉がに」と並ぶ宮津の名物料理をつくろうと発案したことにより誕生。会席料理の一品として小鍋の「一人ぶりしゃぶ」を提供したところ評判となり、「ぶりしゃぶ」の名も定着しました。

▲茶谷さんは当時の青年部の一人。「ぶりしゃぶの誕生は、いわば“コロンブスの卵”のようなものだった」とか

ぶりしゃぶは11月7日~3月31日の期間限定。ぜひ本場のぶりしゃぶを、冬の宮津で楽しんでください(要予約。ぶりしゃぶのL.O.は12:30)。

食事処 四季膳花の

[ 住所 ]
京都府宮津市島崎2039-4 茶六別館内
[ 営業時間 ]
11:30~14:00(L.O. 13:00)、17:30~21:00(L.O. 19:00)
[ 定休日 ]
火曜(祝日、正月、お盆などは営業)
[ 電話番号 ]
0772-22-0206
[ URL ]
https://r.gnavi.co.jp/4bn2nvtx0000/

3.京都府内の水揚げ量9割を占める水産のまち【舞鶴】

日本海が深く入り込んでいる天然の良港である舞鶴湾は、明治時代に旧海軍の鎮守府が開庁され、海上自衛隊が設置されており、京都府内で水揚げされる魚の約9割が、舞鶴の魚です。

▲周囲の山々から豊富な栄養分が流れ込む、ミネラルたっぷりの舞鶴湾で育ったカキは、たった1年で十分に育ち、味も大きさも抜群

舞鶴の美味しい海の幸、こだわりの出汁を使った創作料理をいただけるのが「海辺のレストラン海望亭」です。舞鶴名産のカキを使った料理に、特に力を入れておられるそう。

▲「舞鶴真カキ丼」(税込・2,000円)は、サクサクの衣とプリプリの身のカキフライと、旨みたっぷりの出汁とフンワリ卵の調和が見事。真カキのメニューは3月末で終了し、5月に岩ガキのメニューが登場予定

▲秘伝のタレで蒲焼きにした「舞鶴真カキ蒲焼丼」(税込・1,800円)も美味。写真右奥の「ナスと合挽肉のキーマカレー」(税込・880円)は、掃海艇「のとじま」オリジナルのレシピで作られている

海望亭は、2017年度に始動した「まいづる海自カレー」プロジェクト(毎週金曜の昼食がカレーという海上自衛隊の習慣にちなみ、各艦隊や部隊等で作られているカレーを市内飲食店で提供するプロジェクト・2019年3月現在、12の店舗で実施中)に参加中で、たっぷりの挽肉と野菜をふんだんに使い、隠し味のショウガが効いた、食べやすいカレーです

海辺のレストラン海望亭

[ 住所 ]
京都府舞鶴市字浜34-3
[ 営業時間 ]
11:00~15:00、16:00~20:30
[ 定休日 ]
12月29日~1月3日
[ 電話番号 ]
0773-64-0890
[ URL ]
https://r.gnavi.co.jp/dn26w9vf0000/

「京都舞鶴ARIYOSHI」で舞鶴の山海の幸を極上に味わう。

舞鶴の海の幸を堪能できるオススメ2軒目は、「京都舞鶴ARIYOSHI」です。 当日入手できる最高級の食材を厳選。その食材を極限まで活かす、丁寧な手仕事を施した料理は上品で上質。そんな料理を求め、府内外から食通が足繁く通う店なのです。

店主の有吉功光(のりみつ)さんは舞鶴出身。15歳から大阪の日本料理店で修業を始め、その後飛騨高山の高級料理旅館で長年料理長を務めた、2019年で職人歴35年のベテラン料理人です。 良質な海と山の幸が豊富な舞鶴は、最高の料理をつくれる環境だと再認識し、故郷へ戻り、2014年にこの店をオープン。

▲白板昆布で〆た目鯛に、芽ネギや花穂ジソなどを美しく盛りつけた「昆布〆目鯛の和かるぱっちょ」。軽く塩をふり、柚子オリーブオイルで仕上げ

▲しっかり下処理した筍と、色鮮やかな山菜に、ゴマ入りのシャリをあわせた「筍と山菜各種ばら寿司」。桜の花を添え、目と舌で春を味わえる一品に

メニューはおまかせコースのみ。料理の仕込みをしながら湧き上がるアイディアをもとに、できあがっていく料理は、お店に行ってからのお楽しみです。 料金は6,000円 、8,000 円 、10,000円 、12,000円 、15,000円 (すべて税抜・事前予約必須)のいずれかで、その日の予約を最初に入れた人が希望する料金と時間に合わせて一斉にスタート。 味、香り、温度すべてが最高の状態の一品が、絶妙なタイミングで供されます。その見事な職人技につい見とれてしまいそうになりますが、食べどきを逃さずいただきましょう。

▲生と、湯がいてペースト状にした百合根、トロロ芋をあわせて下味をつけ、丸めて蒸すこと15分。一度冷まし、皮を炙った真鯛を盛り付け、再度温めて銀あんを掛けた「炙り真鯛の百合根つつみ蒸し 銀あん掛け」

子供連れのファミリーもウェルカム、という有吉さん。しかも、事前の電話予約の際に、苦手な食材やリクエストなどを細かく聞いてもらえるので、安心して来店できます。

料理をベストなタイミングで出せるようにと、料理のスタート時間を揃え、席数も最大9席のカウンター席と定員6名の個室、計15席に限定。ワンフロアの貸切も可能とのこと。

有吉さん、友理さんご夫婦のとっておきのおもてなしを堪能でき、全国各地から選りすぐった地酒やワインも揃っているので、舞鶴ならではの料理とのマッチングを楽しめるオススメの一軒です。

京都舞鶴ARIYOSHI

[ 住所 ]
京都府舞鶴市桃山町4-2ウィズビル2階
[ 営業時間 ]
18:00~、18:30~、19:00~のいずれか ※終了時間は予約時要相談 ※完全予約制(12,000円と15,000円のコースは 3日前まで)
[ 定休日 ]
不定休
[ 電話番号 ]
0773-77-5205
[ URL ]
https://r.gnavi.co.jp/cnsr1fz70000/

4.「へしこ」の概念を覆す出合い【京丹後】

▲「立岩」や「屏風岩」といった奇岩から白浜のビーチまで、地形の変化が多彩な京丹後

丹後半島の西側の京丹後の海には、ぜひ食べてもらいたい「へしこ」があります。 福井名物としてよく知られる「へしこ」は、日本海沿岸地方で生産され、京丹後でも昔からよく食されていた保存食ですが、強い塩気と独特の香りがあり、実は苦手という人も。 「地産食堂 味工房ひさみ」の店長・今出龍(いまでたつる)さんは、そんなマイナスイメージの払拭のため、従来とはまったく違う“浅漬け”のへしこを生み出しています。

▲「へしこの浅漬け」(350円)のほか、「へしこ定食」(1,290円)や「へしこのお茶漬け」(650円)でも存分に堪能できる(すべて税込)

今回は特別に、「へしこの浅漬け 至福」(税別・1枚630円)の一切れを、目の前で炙っていただき、まずは一口。きつい塩気はなく、身はジューシーで柔らかく、脂もしっかり残り、さばの旨みが凝縮していて、仰天のおいしさです。 脂ののったさばだけを厳選し、濃度の違う塩水に3回に分けて漬け込むことで、さばの臭みや余分な脂が抜けてよりおいしくなり、塩分を控えめにすることも可能に。塩に漬けた後は、じっくり米糠に漬け込んで熟成し、旨みが極限まで引き出されたへしこが完成。

▲レシピは、祖母のへしこがベース。塩加減に徹底的にこだわったという今出さん

こちらの店でもう一つ食べておきたいのが、「京サワラと堀川ごぼうの釜めし」(税別・1,200円、前日までに要予約)。利尻昆布と2種類の鰹節をじっくり火入れし、旨みを引き出したオリジナルの出汁で、旬の京サワラと京都の伝統野菜・堀川ごぼうを一緒に炊き上げていて、やさしい味わいとごぼうの香りがたまりません。(3月末までの提供)。

▲2018年にリニューアルオープンした「地産食堂 味工房ひさみ」

すぐ近くの間人漁港で仕入れた地魚や、地元の野菜を使った創作料理はどれも奥深い味わいで、観光の途中にいただくのにもってこい。様々なへしこメニューや、予約時に申し出があれば釜飯も味わえます。日本海を一望できるロケーションも満喫できますよ。

地産食堂 味工房ひさみ

[ 住所 ]
京都府京丹後市丹後町間人1830
[ 営業時間 ]
11:00~14:30(L.O.14:00)、17:00~22:00(L.O.20:30)
[ 定休日 ]
水曜、月1回木曜(祝日の場合は営業)
[ 電話番号 ]
0772-75-0160
[ URL ]
https://r.gnavi.co.jp/40s17hge0000/

伊根・宮津・舞鶴・京丹後の4つの“海の京都”の魅力をご紹介しましたが、気になるエリアはありましたか? 2014年の縦貫道全線開通により、府北部へのアクセスも楽になったので、美食と驚きにあふれた美しい“海の京都”へ、ぜひ出かけてみてください。

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