投稿日: 2026年04月24日(金)

川のガイドツアー・レポート 第4回 水が紡ぐ千年の都~糺の森と歩いて巡る鴨川歴景~

川のガイドツアー・レポート 第4回

京都府内の川の魅力を発見する「川の京都ガイドツアー」。その第4回目は2026年3月末、桜が咲くなか、「水が紡ぐ千年の都~糺の森と歩いて巡る鴨川歴景~」と題して、鴨川をテーマに開催されました。その模様をお伝えします。


 
鴨川デルタから少し賀茂川沿いを歩くと、ユキヤナギも咲き誇っていました鴨川デルタから少し賀茂川沿いを歩くと、ユキヤナギも咲き誇っていました。


京都市内で桜が開花した3月末、快晴の好天のもと、鴨川を巡るガイドツアーが開催されました。参加者はまず、出町柳駅から近い“鴨川デルタ”の葵公園に集合。この鴨川デルタは賀茂川と高野川が合流する場所で、水の流れの中に飛び石もあり、観光名所となっています。
今回、アテンドしてくれたのは、京都の旅行企画を実施する「らくたび」の人気ガイド・森さん。朝9時に出発して、お昼ごろまで鴨川界隈を歩きます。
最初に向かうのは、糺(ただす)の森。その前に、下鴨神社の参道の入口で案内図を確認します。
正式名称が賀茂御祖神社(かもみおやじんじゃ)である下鴨神社の歴史は古く、平安京遷都以降は国家鎮護の神社として崇められ、現在は世界遺産となっています。
「京都は古くから鴨川を中心に町づくりがなされてきましたが、上流の賀茂川と高野川の合流地点に祀られています。賀茂川の上流に鎮座する上賀茂神社と同様に、下流にまつられているので下鴨神社とも呼ばれますが、1500年くらい前に創建されたのではといわれています」
森さんの話を聞きながら、案内図を見て参加者はその広大さに驚きます。
「今日は時間の都合で下鴨神社へのお詣りはできませんが、豊かな自然が残る糺の森を通っていきましょう。毎年5月に下鴨神社と上賀茂神社で葵祭が開催されますが、その前の神事として行われる流鏑馬(やぶさめ)も有名です」
静謐な空気に満たされた糺の森は、約12万平方メートル。美しい水の流れが有名ですが、紀元前3世紀ごろの原生林と同じ植生が残っているといわれる貴重な自然でもあります。
女性に人気の河合神社、そして京都家庭裁判所の前を通って、鴨川へ向かいます。

 
下鴨神社参道入口付近で、案内図に見入る参加者たち下鴨神社参道入口付近で、案内図に見入る参加者たち。

 
 水の流れる糺の森を歩く。野鳥のさえずりも聞こえ、癒される散策に水の流れる糺の森を歩く。野鳥のさえずりも聞こえ、癒される散策に。

 
 下鴨神社の摂社である河合神社の前を通り、鴨川へ向かいます下鴨神社の摂社である河合神社の前を通り、鴨川へ向かいます。

「今日は本当にいい天気で、みなさん、晴れ男と晴れ女ですね(笑) さあ、いよいよ鴨川に向かいますよ」
一行はスタート地点である鴨川デルタまで戻り、賀茂川に架かる葵橋を渡って川沿いに下って行きます。ここで鴨川と賀茂川の違いについて説明を聞きます。
「北の桟敷ヶ岳(さじきがだけ)から流れてくる賀茂川と大原の北部から流れてくる高野川がここで合流します。ここまでは“賀茂川”と漢字三文字ですが、ここから下流は“鴨川”と鳥の鴨の字となります」
京都以外からいらした方は、この違いを知らなかった方もいらっしゃるようです。
さて、鴨川沿いには、桜の木が植えられ、ほとんどが開花。この日は、そろそろ見頃に差し掛かりそうな咲きぶりで、青空の下、映える風景に。桜の木の根元にはユキヤナギが植えられているところも多く、ピンクと白の華やかな競演が繰り広げられていました。

 
賀茂川に架かる葵橋を渡り、河原に降りていきます賀茂川に架かる葵橋を渡り、河原に降りていきます。

 
ソメイヨシノとユキヤナギの競演。木の下ではのんびり昼寝をする人もソメイヨシノとユキヤナギの競演。木の下ではのんびり昼寝をする人も。

 
桜を愛でながら歩くと、ついつい立ち止まってしまいます桜を愛でながら歩くと、ついつい立ち止まってしまいます。

河原に降りて、南へと進んで行きます。川沿いは遊歩道になっていて、散歩をする方、サイクリングをする方、観光客の方ら、みなさん思い思いの過ごし方をされています。
しばらくすると、今出川通に差し掛かりました。ここに架かる出町橋の西詰に石碑があります。
「こちらは鯖街道の起点となった場所です。八瀬、大原から朽木を経て、小浜へ至る若狭街道は、鯖が多く運ばれたことから鯖街道と呼ばれるようになりました。京都では鯖寿司を出すお店も多いいですね」
すぐ近くに人の行列が目に入りました。どうやら豆餅で有名な出町のお店の行列がここまで伸びてきているようです。ちなみに、出町と柳は別々の地名で、そのふたつの間にあるから出町柳と呼ばれるようになったとか。出町商店街には、鯖寿司で有名なお店もあります。
見所が多く、お天気もいいので、歩みはついつい遅くなってしまいますが、これが川巡りの醍醐味でもありましょう。

 
今出川通の出町橋西詰にある「鯖街道口」と記された石碑今出川通の出町橋西詰にある「鯖街道口」と記された石碑。

 
途中、こうした飛び石を見つけると、童心にかえって水辺に寄ってしまいます途中、こうした飛び石を見つけると、童心にかえって水辺に寄ってしまいます。

 
川辺に近寄ると、こんなに透明度が高く美しい水の流れに触れられます川辺に近寄ると、こんなに透明度が高く美しい水の流れに触れられます。

「みなさん、世界四大文明はご存じですよね。メソポタミア文明にはチグリス・ユーフラテス川、エジプト文明にはナイル川、インダス文明にはインダス川、中国文明には黄河・長江と、それぞれ川が重要な役割を話しました。千年の都・京都にとって、それは鴨川だったのではないでしょうか」
森さんの楽しい話を聞きながら、丸太町通近くまで下ってきました。ここで注目!と立ち止まったのは、とある古民家風の建物の裏。
「ここは頼山陽(らいさんよう)書斎山紫水明處といいまして、明治維新の頃、『日本外史』の著者として知られる頼山陽が自宅の庭に建てた離れです。京都市内の中心部にあるだけでなく、目の前に鴨川が流れ、東山三十六峰を借景としていて、山陽がここを使ってから『山紫水明』という言葉が使われるようになったといわれています」
『山紫水明』、京都人の好きな言葉です。ここがその起源だったんですね。


 
頼山陽書斎山紫水明處を河原側からチラ見。改めて訪問したいですね(事前予約が必要)頼山陽書斎山紫水明處を河原側からチラ見。改めて訪問したいですね(事前予約が必要)。

丸太町通に架かる橋をくぐって南下していくと、少し景色が変わってきました。
「みなさん、左手、東方向をご覧ください。あちらから流れ込んでいるのは、琵琶湖疏水です。蹴上から南禅寺、岡崎を通ってここに流れてきます。そして、二条から五条までは西側に別の小さな水の流れがあります。みそそぎ川です」
約2kmに渡って流れるみそそぎ川は、四条あたりまでいくと初夏からは納涼床が設けられ、夏の風物詩となります。
 
鴨川で禊(みそぎ)をしたことが由来ともいわれる人工のみそそぎ川鴨川で禊(みそぎ)をしたことが由来ともいわれる人工のみそそぎ川。

 
みそそぎ川を見ながら、二条大橋まで歩きますみそそぎ川を見ながら、二条大橋まで歩きます。

賑わいの多い三条大橋や四条大橋まで下って行きたいところでしたが、二条大橋から地上へ上がり、少し西の木屋町通へ入ります。
「ここからは高瀬川をご覧ください。江戸時代初期に活躍した角倉了以(すみのくらりょうい)が、私財を投じて二条から伏見を結ぶ高瀬川を開削したのです。角倉了以は豪商で三長者の一人といわれています」
高瀬川の一之船入には、当時の船が再現され写真スポットにもなっていますが、高瀬川には桜の木が植えられていて、花びらが散ったあとも映える川面となります。

ここで鴨川を巡る歩きは終了。朝9時にスタートしましたが早12時になりました。木屋町通を少し南下し、趣のある『京料理  梅むら』で昼食です。夏季には納涼床も出る老舗の京料理に、参加者のみなさんは大満足の様子でした。
新緑や初夏など季節を変えて、またぜひ鴨川を巡ってみてください。

 
高瀬川については、「京の川巡り 第9回・高瀬川」もご参照ください高瀬川については、「京の川巡り 第9回・高瀬川」もご参照ください。
https://www.kyoto-kankou.or.jp/kawanokyoto/news/47

 
趣のある「京料理  梅むら」の入口趣のある「京料理  梅むら」の入口。

 
ガイドツアーで配布される撮影用のカード。上手く撮れましたガイドツアーで配布される撮影用のカード。上手く撮れました。

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